海外市場に向けてWEBサイトを制作する際、サーバー選びは非常に重要な要素となります。ターゲット地域のユーザーに快適な閲覧体験を提供するためには、適切なサーバー選定が不可欠です。ここでは、海外現地WEBサイトにおける適切なサーバー選びのためのポイントをご紹介します。
ターゲットユーザーから近いサーバーを選ぶ
WEBサイトにアクセスするユーザーとサーバーとの距離は、WEBサイトの表示速度に影響します。データの伝送距離が短いほど、ページの読み込み速度が速くなり、ユーザーエクスペリエンスは向上します。
例えば、タイ市場向けのWEBサイトの場合、タイまたは東南アジアにデータセンターを持つサーバーを利用することで、現地のユーザーに最適なアクセスを提供できます。
さらに、WEBサイトの表示速度は検索エンジンのランキングにも影響すると言われています。検索エンジンはユーザーに最適な結果を表示するために、WEBサイトの表示速度を評価基準の一つとしています。サーバーがユーザーに近い場所にあると、ページの読み込みが速くなり、検索エンジンの評価が向上し、SEO対策としても有利に働くと言われています。
Googleの検索エンジンでは、人間の目視や体感では感知できないレベルの表示の遅延も評価すると言われているため、現地のWEBサイトには現地のサーバーを用意することを基本として考えた方がよいでしょう。
海外現地と日本の両方からアクセスが見込まれる場合、既存のWEBサイトがあるならGoogle Analytics(GA)の国別アクセス数を参考にするのも一つの方法です。GAデータを分析することで、どの地域からのアクセスが多いかを把握し、その結果に基づいて最適なサーバーロケーションを選定することができます
またターゲットとする市場が中国の場合においてはさらに特別な考慮が必要です。中国政府のインターネット検閲システム(グレート・ファイアウォール)によって、中国国内のユーザーが中国国外にホストされているWEBサイトにアクセスする際に制限やブロックがかかる可能性があります。したがって、日本のレンタルサーバーなど、中国国内以外のサーバーを使用している場合、中国国内からのアクセスが遅延するか、完全にブロックされる可能性があります。中国市場をターゲットにする場合は、中国国内のサーバーを利用することが推奨されます。さらに、中国の検索エンジンであるBaiduは、中国国内サーバーにホストされたWEBサイトを優先する傾向があると言われ、中国市場をターゲットにする場合は、中国の現地サーバーの利用が必須といえます。
サーバーのスペックは十分か?
サーバーのパフォーマンスは、WEBサイトの安定性と快適さにダイレクトに影響します。
サーバーのCPUやメモリ、ストレージの性能を確認し、設置するWEBサイトにとって必要なリソースが十分に提供されているかどうかを確認しましょう。
CPUの性能が不足していると、多くの同時アクセスや重い処理に対応できなくなり、WEBサイトの表示が遅くなったり、最悪の場合クラッシュすることがあります。また、メモリの不足は、データ処理の遅延、ページの表示速度の低下につながります。ストレージの性能が低い場合、データの読み書き速度が遅くなり、全体的なパフォーマンスに悪影響を与えます。
また、PHPなどの言語やデータベースのバージョンにも配慮が必要です。古いバージョンのPHPやデータベースの場合、最新の機能やセキュリティパッチが利用できず、サイトが脆弱になったり、パフォーマンスが低下する可能性があります。
これらのチェック要素は、海外向けWEBサイトに限らず重要ですが、とくに海外サーバーを使用する場合には、通信遅延、サポートの質、そして互換性の問題など、特有の課題があるためより慎重に対応すべきです。とくにインフラが整っていない地域や国では、十分なスペックを持つサーバーを提供していないレンタルサーバー会社も存在します。距離が近いからといって必ずしも現地サーバーがベストな選択肢とは限らない、という点も考慮しておく必要があります。
サーバー会社のサポート体制の質は?
サーバー側にトラブルが発生した際に迅速に対応できるサポート体制があるかどうかも重要なポイントです。
サーバーの設定やアップデート、セキュリティパッチの適用など、定期的なメンテナンスが必要となる場合もあります。これらの作業が迅速かつ適切に行われなければ、サイトのパフォーマンスやセキュリティに悪影響を及ぼす可能性があります。現地のサーバー会社がこれらのメンテナンスをどの程度サポートしているかも確認ポイントの一つです。
また、現地サーバー会社の適切なサポートを受けるためには、コミュニケーションの壁が存在することにも留意が必要です。例えば、現地の技術サポートが現地語のみで提供されている場合、日本企業の日本人担当者がサポートを受ける際に言語の障壁が発生し、迅速な対応が難しくなることがあります。また、現地のサポート体制が十分に整っていない場合、トラブルが発生した際に適切な対応が期待できないこともあります。
一方、日本のサーバーを利用する場合、サポート体制の質が高く、言語の問題がありません。日本語でのサポートを受けられるため、技術的な問題や契約内容に関する問い合わせもスムーズに行えます。さらに、日本のサーバー会社は多くの場合、24時間体制のサポートを提供しているため、トラブルが発生した際にも迅速に対応してもらえます。
これらのメリット・デメリットを踏まえ、総合的な判断によって、自社のビジネスニーズやユーザーの特性に最適なサーバーを選定することが重要です。
海外現地のレンタルサーバーを利用するにはどうしたらいいのか
海外現地で信頼できるレンタルサーバー会社を見つけるためには、いくつかのポイントを確認する必要があります
まずはオンラインでのリサーチを通じて、候補となるレンタルサーバー会社をピックアップします。国によっては、日本語でレビューサイトやおすすめのサーバー会社をピックアップしているサイトもありますので、そのようなサイトの評価を参考にするのもよいでしょう。
次に、サーバーのスペックを確認します。サーバーのCPU、メモリ、ストレージの性能、使用する言語やツールのバージョンが自社のWEBサイトのニーズに合致しているプランが用意されいるかを確認します。
技術サポートの有無を確認することも重要です。現地のサポートが現地語のみで提供されている場合、言語の障壁が問題となることがあります。日本企業にとっては、日本語や英語でのサポートが提供されているかも一つの評価ポイントとなります。先行して現地でWEBサイトを展開している知り合いなどがいれば、経験談は特に参考になります。
弊社のような日本と海外に拠点を持つWEB制作会社に相談することも一つの有効な方法です。弊社では、日本とタイに拠点を持ち、タイ現地の状況を深く理解していますので、信頼できるレンタルサーバー会社の選定や契約に関するアドバイスを提供することができます。さらに、弊社を介して日本語でのサポートが可能なため、技術的な問題や契約内容に関する問い合わせもスムーズに行うことができます。
クラウドサーバーという選択肢について
AWS(Amazon Web Services)やGoogle Cloud Platform、Microsoft Azureなどのクラウドサービスは、世界中に分散したデータセンターを利用できるため、ターゲット市場に近いサーバーを簡単に選ぶことができます。これにより、物理的な距離を縮めることで、表示速度の向上を図れます。また、クラウドサービスはスケーラビリティが高く、アクセス数の増減に応じてリソースを柔軟に調整することが可能です。セキュリティ対策やバックアップ機能も充実しているため、安心して利用できる点も大きなメリットです。
ただし、クラウドサービスの利用にはアクセス数などによって利用コストが変動するという点で、予算管理が重要になります。また、クラウドサービスの設定や管理には専門的な知識が必要な場合があり、初心者にはハードルが高いこともあります。そのため、クラウドサービスを利用する際には、専門家のサポートを受けることを検討すると良いでしょう。弊社でも、海外サイト向けのクラウドサーバー構築のご相談も承っております。
まとめ
ターゲット地域に最適なサーバー選びには、サーバーの場所、性能、サポート体制、費用など多角的な視点からの検討が必要です。各地域におけるサーバーの特性や利用状況を十分に分析し、最適なサーバーを選定することで、グローバルなWEBサイトの展開を円滑に進めることができるでしょう。