コーポレートサイトを構築する際、公開後の更新作業などのWebサイト管理業務における利便性向上のため、CMSの採用を検討している企業Web担当者の方は多いと思います。この記事では、どのような基準でCMSを選択したらいいか、また、構築の際に留意すべきことをまとめます。
CMSとはなにか
CMS(Content Management System、コンテンツ管理システム)とは、Webサイトのコンテンツ(テキスト、画像、動画など)を管理・公開するためのシステムです。このシステムを使用することで、プログラミングの知識がなくても、簡単にWebサイトの更新や管理が可能になります。
CMSの主な機能には、コンテンツの作成・編集、カテゴリー分け、公開前のプレビュー、公開スケジュールの設定などがあります。また、多くのCMSでは、テンプレートを用いてサイトのデザインを容易に変更できるほか、プラグインやモジュールを追加することで、フォーム作成やSEO対策、ソーシャルメディアの統合など、様々な機能をサイトに追加することができます。
運用するうえでの利便性から、個人のブログから大企業のコーポレートサイト、ECサイト、ポータルサイトなど、さまざまなウェブサイトで利用されています。代表的なCMSには、WordPress、Wix、Joomla!、Drupalなどがあります。それぞれ特徴があり、用途や好みに応じて選択されます。
CMSを使用するメリットとしては、以下の点が挙げられます。
- 更新作業の容易さ
コンテンツの追加や編集が簡単にでき、ウェブサイトの最新情報を迅速に公開できます。 - デザインの一貫性
テンプレートを使用することで、サイト全体でデザインの一貫性を保ちやすくなります。 - 複数人での管理
アカウント管理機能により、複数のスタッフが各自の役割に応じてウェブサイトの管理を行えます。 - 拡張性
プラグインやモジュールにより、必要に応じて様々な機能をサイトに追加できます。
最も使われているCMSはWordPress
2023年のデータによると、全世界のWebサイトの40%以上、CMSを使用しているサイトの60%以上がWordPressを使用しています。
日本国内におけるWordPressのシェアはさらに高く、CMSシェアの80%を超えており、WordPressがいかに大きなシェアを占めているかを示しています。
WordPressがWebサイト構築において最も使われている理由は、ユーザーフレンドリーな操作性、豊富なプラグインやテーマの選択肢があること、そしてシェアが大きいことに由来する、協力なコミュニティサポートがあることが挙げられます。
特にコーポレートサイトの構築において、WordPressはそれぞれの企業のブランディングに合わせたデザインのカスタマイズ性の高さ、SEO対策の容易さ、コンテンツ管理のシンプルさによって、非常に使い勝手が良いCMSとなっており、多くの企業に選ばれる理由となっています。
WordPressでコーポレートサイトを構築する際に気をつけるべきこと
以下の点について適切に対応することにより、効果的かつ効率的にWordPressを使ったコーポレートサイトを構築できます。
レスポンシブデザイン
さまざまなデバイスからのアクセスに対応できるWebサイトを構築することは、ユーザー体験の向上に役立ち、ひいてはSEO対策となります。
パソコンをはじめ、スマートフォンやタブレットなど、異なる画面サイズを持つデバイスからWebサイトを閲覧するユーザーに対して、最適なWebサイト表示を提供できるようにデザインすることが大切です。
また、Googleを含む検索エンジンはモバイルフレンドリーなサイトを高く評価するため、検索結果のランキング向上にもつながります。
カスタマイズ
企業のブランドイメージに合わせたテーマやプラグインを選定してデザインすることは、視覚的にその企業の独自性を表現するにあたり、とても重要なことです。適切な画像や文章などの素材を用意し、カラー、ユーザーインターフェイスなどのトーンを合わせてWebサイト全体として統一感のある設計をすることで、コーポレートサイトとしての信頼度を得られるようになります。
セキュリティ対策
強固なパスワードを設定することに加え、二要素認証の導入、セキュリティプラグインの利用、定期的なWordPressとプラグインのアップデートを行いましょう。また、使用しないプラグインやテーマは削除しておくことが大切です。
セキュリティを強化するためのプラグインはWordfence Security、iThemes Securityなどがあり、これらのプラグインを使用すると、不正アクセス防止、ファイル変更監視、ファイアウォール機能を利用することができます。また、ログイン試行制限機能なども設定し、不正ログインを阻止する対策が必要です。
通常のWebサイトと同様にSSL証明書を導入してHTTPSを有効化し、データの暗号化を図ります。さらに、管理画面のアドレス(wp-admin)の変更や、定期的なバックアップの実施も重要です。これらの対策を組み合わせることで、セキュリティレベルの高いコーポレートサイトを構築することが可能です。
SEO対策
WordPressでのWebサイト構築時に行うべきSEO対策には、適切なキーワードの使用、パーマリンク設定の最適化、高品質なコンテンツの作成、画像の最適化、レスポンシブデザインの採用、サイトの速度向上、内部リンクの活用、メタデータ(タイトルタグ、メタディスクリプション)の最適化があります。また、SEOプラグインとして、Yoast SEO、All in One SEO Pack、Rank Math SEOが挙げられます。これらのプラグインは、メタデータの最適化、サイトマップの生成、コンテンツ分析など、SEO対策に必要な機能を提供しており、サイトの検索エンジン最適化を効率的に行うことができます。
パフォーマンスの最適化
WordPressでパフォーマンスを最適化する際に使うプラグインには、W3 Total Cache、WP Super Cache、Autoptimize、WP Rocketなどがあります。
これらのプラグインは、キャッシュの生成、画像の遅延読み込み、JavaScriptやCSSの最適化などを行い、サイトの読み込み速度を改善します。このような対策をすると、ユーザー体験が向上するとともに、SEOの観点からも有利になります。
WordPressでは静的ページを作成することができる
通常、WordPressをはじめとするCMSでは、文章や画像がアクセスする毎に変わり、ユーザーに適したHTMLファイルが都度サーバ側で作られます。ゆえに、コーディングの知識がなくてもWebサイト構築ができるわけです。
ユーザーがアクセスするたびにHTMLファイルを作るわけですから、環境によってはWebサーバに負担がかかりやすくなり、Webサイトの表示が遅くなるなど、パフォーマンスに影響が出ることもあります。
Webサイトのページによっては、一度ページを作成してしまえばしばらく更新作業が発生しないものもあります。WordPressでは、事前に作成されたHTMLファイルとしてサーバーに保存される静的ページを作成することが可能です。
静的ページは訪問者がアクセスするたびに同じ内容を表示するわけですから、速度が速くセキュリティが高いというメリットがあります。
静的ページを作成するには、WP Super CacheやW3 Total Cacheといったキャッシングプラグインを使用します。
これらのプラグインは、動的なWordPressサイトを静的HTMLファイルに変換し、サーバーの負荷を軽減しながら高速なページ読み込みを実現します。キャッシングの方法を選択し、HTMLファイルの生成条件や有効期限などを細かく設定することができます。
ページの内容により静的ページと動的ページを適切に使い分けることで、Webサイト全体のパフォーマンスが向上が見込めます。
まとめ
コーポレートサイト構築においてCMSを利用する際には、デザインのカスタマイズ性、セキュリティ対策、SEO対策、パフォーマンスの最適化などに対応できるかどうかを基準に選択することに加え、サポート体制が充実していることは安心感につながりますし、将来的な拡張性や、多様なデバイスでの表示対応、多言語に対応できるかなどの有無も重要なポイントです。
その点からも大きなシェアを占めているWordPressが多くのユーザーに使われているのは、その使いやすさ、柔軟なカスタマイズ性、セキュリティ対策やパフォーマンス向上などさまざまな機能や対策に対応できる豊富なプラグインとテーマ、活発なコミュニティとサポート体制があります。
弊社では多くのコーポレートサイトをWordPressをはじめとするCMSで構築してきた制作実績があります。
コーポレートサイト制作のご依頼やご相談の際は、ぜひ弊社にお声がけください。